創作怪談【Aの想い出】:夏の怪談をみんなで作ろう!第一夜より

ネタ記事

You Tubeでやった企画【夏の怪談をみんなで作ろう!第一夜】で出たワードを使い無理くり作った創作怪談です。

語りは【夏の怪談をみんなで作ろう!・第二夜】にて披露されていますので、よければそちらご視聴ください。

 

「Aの想い出」

 

ある人が夏の暑い盛りに体験した話

 

ある人がお盆時期に帰省したら実家の近所に住んでいる幼馴染に出会ったそうです。
その幼馴染とはいまでは帰省時くらいしか会わないが、小さい頃から気が合って、いつもふたりで遊んでいた。
その日も、実家に荷物をおいたら出てくるから後で遊ぼう、と約束をして実家に帰った。

実家で荷物をおいていると、普段いない親戚のおじさんその腐れ縁の仲だというおばさん夫婦がいた。
このおじさんは昔やんちゃしてたとかで、親戚の中では鼻つまみ者だが、自分とは割と普通に話す仲だった。
おじさんとおばさんは仏壇に線香を立てて仏様にお祈りをしてるようだった。
普段の言動からは想像できないその姿に、僕は違和感を覚えて思わず何をしているのか尋ねた

*おじさんたちの回想*

おじさんたちがまだ高校生くらいの頃の話。
まだ夏がそこまで暑くなく、携帯扇風機やら空調服やらが必要なかった時分の話。
その頃、おじさんとおばさんには幼馴染の友達Aがいていつもその子と一緒に遊んでいたそうだ。

その夏も三人で一緒にキャンプに行くという計画を立て、夏休み初日からキャンプ場に行ったという。

そのキャンプ場は元々学校だったのが廃校になってからキャンプ場として改装され最近オープンした所で、校舎の建物も残っていたが、まだそれほど人に知られていない穴場のような場所だった。
キャンプ場は結構広いのに他に利用者もいないようだったし、裏山には山葡萄や木の実がなっていたり、側には小川が流れていて泳いだり魚釣りもできると、自然に溢れたいいところだった。

ただ、隅の方にある一角だけは蔦が絡んだフェンスで囲われていて、なにがあるのかわからなくなっていたが、そこに近寄ろうとするとどこで見ていたのかキャンプ場の管理人が出てきて近寄らないように、といわれてしまった。

 

到着した日にはテントを設営してから川で水遊びをして、昼にはBBQをしてさらに川の水でよく冷えたスイカを食べ、夜には花火をして楽しく過ごした。
ちなみにおばさんはスイカが大好き23日の予定のキャンプになんと毎日1個食べられるようにと大玉のスイカを3個も持ってきていたそうだ。

翌朝、早朝に目を覚ました三人は夏休みというテンションからか、小学校ぶりにラジオ体操をして(スタンプを押すフリとかもしたり)、今日は何をしようか、と相談した。
すると、Aが「ロズウェル事件」って知ってるか?といってきた。

ロズウェル事件とは米国で起きたUFO墜落事件で、墜落したUFOが米軍によって回収されたとして有名になった事件で、宇宙人の遺体が回収されたといわれる事件である。

意味がわからないのでおじさんが「どういうことだ?」と聞くと、Aはロズウェル潜入ごっこをしようとぜ、いい出してきた。
更に聞くと、校庭の隅にある管理人が見張っている一角に潜入しようということだった。

おじさんもノリノリで、「おお、行こう!」となり、おばさんもしかたなくついていき、3人でこっそりと蔦が絡んだフェンスに近づいていった。
管理人に見つからないようにこそこそとしながら外周を回ると端の方のフェンスが破れていた。

 

「ここから入れそうだな」といいながら、中にはいった3人が見たのは、おそらくは元々は学校のものだったのだろうプールだった。
プールの水はとてもキレイで、プールサイドや飛び込み台も苔の一つ枯れ葉の一つもなくピカピカだった。

泳げそうなプールにテンションが上り、「泳ごう」と誘ってきたAに、「じゃあ水着とってこんと!スイカ割りもしようや!」と答えて、水着とスイカを取りにプールから出てテントに行こうとした。

と、その時管理人の姿が遠くに見え、見つかると思い、3人は全力でダッシュした。

そんななか、A靴を片方落としてしまったが、見つかったらマズいという一心で全力で逃げてテントまで戻った。

しばらく様子を見ていたところどうやら見つからずには済んだようだが、靴が一足だけになってしまっているので取りに行こうということで時間を置いて再びプールに向かうことにした。

再び管理人の目を盗み、プールを囲うフェンスのあたりまで近づいた3人が見たのは、先程とは打って変わって水は枯れ、プールサイドのモルタルはひび割れ、草がぼうぼうと生えた、朽ち果てたプールだった。

呆然としていた3人がさきほどAが靴を落とした場所に目を向けると、そこには長い年月が経ち、苔が生えてしまったような靴があった。
驚いているおじさんとおばさんだったが、Aが靴を拾わなきゃとフェンスをくぐり抜け、中にはいっていったので、自分も続こうとしたその時

 

「何してんだ?」

 

という声とともにおじさんとおばさんは肩をガシッと掴まれてしまった。

驚いて振り返ると、そこには管理人がいて二人の肩を掴んでいた。

「こんなところなにもないぞ」

という管理人の声に

「え?いやそこにプールが……

とおじさんがいい二人が振り返ると、そこにはフェンスの破れ目はなくなっており、その先に進んでいったAの姿も消えてしまっていた。

混乱して管理人に今あったことを説明するも、管理人は意味がわからない、というような顔をして言い放った。

「今日このキャンプ場に来てたのはお前たち二人だけだぞ?」

 

「あのプールが何やったんかはわからんけど、あん時俺らは幼馴染を亡くしたんよ」

そういうおじさんの側でおばさんは家の墓の横に不自然に置いてある石に水をかけてスポンジで擦りながらそういっていた。

「キャンプから帰ってきて、すぐにAの家に行ったんやけど……空き家になっててね。聞いたらもう何年も人なんか住んでないって」

「だがら、せめて覚えてる人間が墓の代わりでも置いといてやらんとな、ってね」

そういいながら、おばさんは誰も入っていない墓の掃除を続けていた。

 

「ああ、そういうことだったのかと思って腑に落ちたんです。」

彼はそういいました。

「俺の幼馴染ってね、近所に住んでるってのに俺以外だれも覚えてなかったんです。
今考えたら誰もあいつのことを見れちゃなかったんでしょうね。
あいつ、いつも片方しか靴はいてなくて、でもそれを疑問に思うこともなかったんですよ。

でも、わかりました。
あいつがそのプールで消えたやつで、何が起きたのか俺の前に出てきてたんですね。

だって、おばさんが磨いてた墓石の代わりの石に、そいつの名前が書いてあったんですよ

「アトランティス……って」


使用ワード

・夏休み初日

・お盆時期

・昔やんちゃしてた親戚のおじさん

・スイカ大好き腐れ縁のおばさん

・帰省時のみ会う、実は自分しか覚えていない近所の子供

・キャンプ場

・アトランティス

・学校のプールサイド

・線香(の香り)

・携帯扇風機

・花火

・ロズウェル事件

・ラジオ体操とスタンプ

・墓掃除

・靴の片方だけなくなる

・スイカ割り(スイカの中に、髪の毛)


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