You Tubeでやった企画【夏の怪談をみんなで作ろう!・第二夜】で出たワードを使い無理くり作った創作怪談です。
語りは【夏の怪談をみんなで作ろう!・第三夜】にて披露されていますので、よければそちらご視聴ください。
……今回はひどい(今回も)
「島の夏」
約10年前に、元サーファーだがいまはもうサーフィンをやめ、アロハシャツとかを着ている格好だけそれっぽい、いわゆる陸サーファーをやっているSさんという、海の家をやっている人から聞いた話。
それは1998年の夏、早乙女という少年が家族と一緒に「おばあちゃんの家」に遊びに行ったときのことだそうです。
一緒に島に行ったのは早乙女と母親、それにまだ幼女といってもいいような年頃だった妹で、その家というのはもうおばあさんそのものは亡くなっておりおじいさんしかいないものの、今まで通り「おばあちゃんの家」と呼んでいた家だそうです。
「おばあちゃんの家」は、ちょうどその当時に建設が開始された、宇宙ステーションに人を送り込んでいるある国立研究法人があることで有名な島にあったとか。
早乙女には学校の校長をしているおじいさんがおり、その家はよく島に赴任してくる若い独身の教師の下宿代わりに使われていた、ということでした。
その夏も、ALT(英語指導員)のアレクサンドロスさんという20代の前半くらいの人が居候をしていたそうだが、この彼は趣味で潜水士もしており、海がきれいなこの島を殊の外気に入っていたとか。
「おばあちゃんの家」はいわゆる、よくある古い民家、という感じの家で、縁側にスダレが立て掛けてあったり、風鈴が吊るしてあって風が吹くとチリンと音がなったり、家の中には大きい仏壇もある、本当によくある平屋の田舎の家、という感じだったそうです。
その日は忘れもしない、8月3日。
何十年かぶりに行われる集落のお祭りがあるとかで、早乙女や妹はワクワクしていたそうです。
集落の外れにある神社で縁日も出るということで、早朝の四時くらいに目が覚めてしまうくらい興奮していたそうです。
6時位にラジオ対応をする頃には、もう待ちきれなくなっていたのですが、まあそんな早くから祭りをやるわけもないので、母親やおじいさんからは「お祭りは夕方からだよ」となだめられていたとか。
そんな二人を見かねたのか、アレクサンドロスが一緒にスーパーに行ってアイスでも買ってあげようといい出しました。
また、そのついでも少し神社の様子でも見てこよう、ということだったそうです。
もちろん早乙女も妹も喜んでついていくのですが、そんな三人におじいさんが少し気になることを行ってきました。
「神社行ってもいいけど、そこの外れにある祠に近寄っちゃなんねえぞ。」
三人はスーパーに行き、早乙女はかき氷、妹はアイスを買ってもらってご機嫌でしたが、お祭りや縁日の設営が進む神社に行った時に、アレクサンドロスはどうしてもおじいさんの言葉が気になったようでした。
「この集落にはもう1年位住んでますが、あの神社に祠なんて見たことないデース。」
二人も好奇心があったのか、いけないとはわかりつつ、ついついその祠を探してしまったそうです。
そして、その祠は意外とすぐ見つかりました。
神社の入口から右斜奥に進んだ境内の端にある小さな祠で、セミの抜け殻とかがついていたりするその祠には、スイカがお供えされていました。
その祠の前には河童の伝説について記載があり、その河童を祀っているのだ、と書かれていました。
その河童はもともと川の神で、体の大きさを自在に変えられ体長を1尺…今でいう30センチくらいに変えたり、手を2メートルの大きさに変えたりできる妖力を持っており、さらに頭を飛ばして村人を脅していた、という化け物でした。
最終的には村人によって全身に釘を打ち込まれて動けなくなったところを、旅の僧によって塚に封じ込められた、というのですが、あまりに凄惨な昔話に早乙女は絶句したそうです。
ですがアレクサンドロスは興味深そうに「ヘルレイザーみたいになってたんデスね!」とかいっており、のんきな人だな、と思ったとか。
と、突然
「アイス、何たべてるの?」
とうしろから話しかけられ、早乙女と妹は驚いて振り向いたそうです。
そこには、十代くらいの女性がおり、アイスを食べている妹に話しかけていました。
突然話しかけられた妹が答えに詰まっていると
「好きなアイス何?」
と重ねて尋ねられ、妹は思わず「チョコミント……。」と答えたそうです。
すると、その女性はニヤリと笑ってすっと去っていったとか。
その後、「おばあちゃんの家」に戻った早乙女たちは、昼ごはんに流しそうめんを食べたあと、日暮れの、豆電球をつけてるぐらいの時間になって、ようやく待望の縁日に行くことになりました。
母親に連れられ妹と一緒に縁日に向かっている最中、ご近所の家の子供達が仲良く花火をしていたので、「どこそこの家の孫で~」という感じでそこに混ぜてもらい、噂好きの母親が近所のおばさんとはなしているのを、早くお祭りに行きたいな、と思いながら聞くとはなしに聞いていました。
余談ですが、母親は結構年がいっていたので、他の若い母親たちに交じるとおばあさんみたいで恥ずかしいから早く離れたい、という思いもあったそうです。
で、その時ちらっと耳にした会話の中に「アレ?」っと思うようなことがあったとか。
いわく、「この神社のお祭りが長いこと行われていなかったのは、できたらやりたくないからだ」とか「この神社では口に出してはいけない言葉があるのだ」とか「この神社ではたびたび丑の刻まいりが行われており、その念が渦巻いている」とか「縁日の帰り道は後ろを向いてはいけないキマリがある」とか。
聞いているだけでろくな話ではないことがわかったので、早乙女はここを離れたい、と思ったそうです。
ちょうどそこに、縁日の見回りをしていたアレクサンドロスがやってきたので、母親に一言言って妹と一緒にアレクサンドロスについていくことにしたそうです。
お祭り自体は楽しく、縁日で色んなものを買ったり食べたりして楽しんだのですが、そんな中アレクサンドロスが例の祠をまた見に行きたいな、といってきたそうです。
早乙女は正直イヤでしたが、母親にもらった小遣いだけでは足りず、アレクサンドロスに色々買ってもらっていたので、反対もできず渋々ついていったそうです。
社殿の右手奥、境内の端にある祠。
それを見た時、「えっ!?」となったそうです。
昼に来たときには普通だったお供え物のスイカ、それが腐り果ててハエが大量についていたんだそうです。
三人ともさすがにこれはちょっと嫌だ、となりそそくさとその場を離れ、家に帰ることにしたそうですが、その帰り道に妹が突然「え!?」といって振り返ったそうです。
どうしたのか聞くと、昼に祠の前であったお姉さんの声でまた「好きなアイス何?」と尋ねられた、といいます。
気持ち悪いね、と話していると、アレクサンドロスが不思議そうな顔をして「祠の前であったお姉さんってなんのこと?」と聞いてきました。
早乙女と妹は驚いて、昼のことを話したのですが、アレクサンドロスはそんな記憶はなく、覚えているのは急に二人が振り返って、妹が「チョコミント」っていったことだけだ、といいます。
わけがわからないですが、気持ち悪い話ではあるので、早く家に帰ろう、となり家に帰ったのですが、その後おじいさんに今あった話をすると、おじいさんは嫌そうな顔をして黙って部屋を出て、そのままどこかに電話を始めたそうです。
漏れ聞こえる声は「また出た。」「やっぱり出た。」「だから祭りなんかするもんじゃない。」というような話だったそうです。
何がおきたのか聞くと、おじいさんは早乙女だけに教えてくれたそうです。
昔あの集落には美人の娘さんがいたそうですが、妬みから毎日同時間に家の壁にドンって石を投げつけられたり、その他にも結構ひどい目に合わされていたとか。
偶然お祭りの日がその子の誕生日だったのですが、彼女はその日体中に釘を打ち込まれ、石をぶつけられて亡くなったそうな。
その凶行を行ったのが彼女の同級生7人で、特にリーダー格がしょっちゅうアイスを食べているやつだったとか。
その娘の死後、その七人にもいろいろなことが起こり(卒アルの七人の顔が塗りつぶされていたとか)、毎年祭りの日に一人ずつ結局その七人全員何らかの形で亡くなったため、その娘の恨みを沈めるため河童の伝説に仮託する形で塚を作って慰霊し、またお祭りもやめていたのだといいます。
ただ、問題だったのは夜。
もう23時になろうかという22時52分に妹が急に熱を出してうわ言をいい出したのです。
妹は「仏壇の隙間から何かが見ている」とか「床下から何かが出てくる」とか要領を得ないことを言い出し、病院に緊急搬送されました。
おじいさんも儀式をするといい、ずぶ濡れになって水垢離をしてなにか(今思うと祝詞のようなもの)を唱えたりしていたのですが、やがて妹の症状が小康状態になったという連絡が入り2時50分には容態が落ち着き事なきを得たということでした。
また、関係ないですが早乙女はその後引きこもりになり、なぜか今は陸サーファーをやっているのだとか。
「なんだか知らないけど、あの塚の前でアイス食ってると、いじめをしてた主犯と間違われるのか、取り憑かれて、同じような目に合うことがあるらしいよ。」
SさんはTUBEの流れる海の家の店内で、めっちゃぼったくりのカレー、その名も「コイツがあの…アトランティス!!」をサーブしながら、そう教えてくれました。
使用ワード
・海の家
・宇宙ステーション
・井戸のある家
・謎の祠
・縁日をしている神社
・日暮れ
・朝四次
・2時50分
・1998年8月3日
・22時52分
・お姉ちゃんの誕生日
・豆電球つけてるぐらいの時間
・約10年前
・6時半
・七人
・元サーファーのSさん(陸サーファー)
・ずぶ濡れのおじいさん
・噂好きのおばあさん
・幼女
・潜水士のアクレサンドロスさん
・家から出てこない早乙女
・校長先生
・おばあちゃん家の仏壇
・口に出してはいけないワード→「ミントチョコ好き」って言ったら殺される
・全身に釘を打ち込まれた姿をしている
・ヘルレイザー(みたいな)
・アイス食べてるやつに憑く
・体長30cm手は2m:体の大きさを自在に変えられる
・河童の伝説がある地域
・頭部取り外し可能
・コイツがあの…アトランティス!!
・見たやつは同じ目に合わされる
・海のいえでめっちゃぼったくられた
・丑の刻まいりの念の塊
・線香花火
・アロハシャツ
・スダレ
・風鈴:風鈴の鈴の音
・チューブ
・ラジオ体操
・かき氷
・アイス
・セミの抜け殻
・スイカのお供え物
・流しそうめん
・スーパーに買い出し
・仲良く花火する
・縁日の帰り道は後ろを向いてはいけないキマリがあった
・肉眼で見えてないのに 「お前の好きなアイスはなんだ」って声がした
・スイカが腐る
・卒アルの七人の顔が塗りつぶされていた
・毎晩同じ時間に壁ドンされる
・仏壇の隙間から覗くなにか
・床下から出てくる
・全滅エンド:誰もいなくなった
×幼女のみ生き残り
×新たな化け物に、エンド
×宇宙ステーションからの攻撃
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